研究概要 |
1.Ia型超新星爆発における元素合成の理論的研究:最新の大規模数値計算を用いた爆発モデルについて、原子核反応の詳細な理論計算を行った。特に、爆発が球対称から大きくずれて、燃焼波がある特定の方向に進行していく場合の計算結果について、現在論文執華中である(Maeda, K., et al., in prep.)。このような爆発は今まで調べられていなかったが、爆発初期の核燃焼波は浮力により運動が支配されるため、初期のごく小さな摂動によりこのような爆発が起こる可能性は大きい。また、爆発の初期条件を変えたモデルについても現在数値計算を行っている。 2.超チャンドラセカール質量白色矮星を親星とするIa型超新星の観測的研究:一般のIa型超新星爆発は、チャンドラセカール質量(太陽の約1.4倍)の白色矮星の爆発であると考えられてきたが、近年、チャンドラセカール質量を超える白色矮星の爆発であると考えられるIa型超新星が見つかっている。本研究では、そのような候補の一つである超新星2006gzの観測をすばる望遠鏡で行い、これが通常の超新星とは異なるタイプであることを確認した(Maeda, K., et al. 2009)。また、いくつかの超チャンドラセカール超新星候補の観測と放射計算を比較し、これらが球対称から外れた歪んだ構造をもつこと、観測されている性質の多様性が視線方向の違いにより説明されることを示した(Maeda & Iwamoto 2009)。 3.その他、超新星の観測、元素合成の研究(たどえばMaeda & Tominaga 2009)を行った。
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