研究概要 |
1.Ia型超新星の爆発構造が歪んでいることの発見と観測的多様性の統一的理解: Ia型超新星は白色矮星の核反応暴走爆発である。これは長年"球対称"爆発であると考えられてきた。本課題において、これが正しくなく、中心からずれて核暴走が始まり非対称に燃焼波が進行し爆発を引き起こす観測的証拠を発見した(Maeda et al., 2010, ApJ, 708, 1703)。さらに、長年の謎とされてきたIa型超新星の観測的多様性が視線方向の違いにより生じるという観測的証拠を発見した(Maeda et al., 2010, Nature, in press)。これらの結果は、Ia型超新星の様々な未解決問題を統一的に解決し,関係分野におけるブレークスルーとなると期待される。 2.Ia型超新星における元素合成と銀河化学進化: 上記のような,Ia型超新星が非対称に爆発するモデルにおける元素合成の理論計算を行った。このようなモデルは,銀河の化学進化を説明するうえで既存のモデルよりも優れていることを示した(Maeda et al., 2010, ApJ, 712, 624)。 3.超新星爆発を起こす星の質量の制限: 重力崩壊型超新星(Ia型以外の超新星)を起こす星の質量の下限は太陽の10倍程度とされているが,観測的な証拠に乏しい。特異な超新星2005czのすばる望遠鏡による観測結果から,これがその下限に近い星の爆発であることを示した(Kawabata, Maeda, et al.2010, Nature, in press)。 4.そのほか、超新星の理論・観測的研究を推進した。
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