平成22年秋に開始予定の暗黒物質ニュートラリーノの発見を目的とするXMASS実験の準備が進められている。ニュートラリーノが発見されると、暗黒物質問題を解明という宇宙物理学に貢献するだけでなく、素粒子の標準模型を超えた粒子の発見という素粒子物理学にも大きなインパクトを与える。XMASS実験では液体キセノンをターゲットとして用い、暗黒物質とキセノン原子核が反応したときに出るシンチレーション光を観測することにより暗黒物質を同定する。本実験ではその同定する際に重要な液体キセノン中でシンチレーション光の伝搬、つまり吸収長、散乱長を理解するためにモニタシステムの開発が目的である。XMASS実験では液体キセノンの入った検出器は直径10m、高さ10mの円筒形水タンクの中心におかれる。マイナス100度の液体キセノンの不純物を取り除くため水タンク中心の検出器からタンク外に配管が設けられ、タンク外の純化装置を通る。本モニタはこの純化装置の前に設置され、液体キセノンの発光波長と同様の光が出るエキシマランプから液体キセノンに光をあて吸収長、散乱長を光電子増倍管で測定することを考えている。来年度に始まるXMASS実験にむけて今年度は、昨年度に製作した液体キセノンモニタ装置を安全かつ、安定的に動作させるための温度、圧力モニタの整備、配管の整備の準備を行った。本研究で開発したモニタシステムは来年度開始されるXMASS実験でデータを安定的にとるために重要な液体キセノンの品質(吸収長、散乱長)をモニタする装置として導入、運転される予定である。
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