研究概要 |
申請者はグランフェンを円盤状に切り出したグラフェン・ナノディスクという新しい物質群を提唱した.この中でも特に,ジグザグエッジを持つ三角グラフェン・ナノディスクにN重縮退した零エネルギー状態が存在する事を発見している.この零エネルギー状態に射影された相互作用を導出した.この系では交換相互作用がクーロン相互作用に匹敵する大きさであることを発見した.グラフェンナノディスクにリードをつけることにより,クーロン・ブロッケード現象をグリーン関数の運動方程式を用いて解析した.相互作用のないときはナノディスクの零エネルギー状態にはSU(N)対称性が存在する.しかし零エネルギー状態に射影された相互作用はSU(N)対象性を持たない.この為に特異なクーロンブロッケードが発生することを発見した. またグラフェン・ナノディスクのスピントロニクスヘの応用の可能性についても数々の提案を行った.グラフェンナノディスクの基底状態は強磁性である為,グラフ出ンナノディスクにリードを接合し,電流を流すとナノディスクのスピンと同じ向きの電子のみが通過できる.この結果グラフェンナノディスクはスピンフィルターとして働く事が確認出来た.またグラフェンナノディスクをスピンメモリーとして使えることも議論した.グラフェンナノディスクに不完全分極したスピン流を入力すると完全分極したスピン流が出力される.この性質を用いてスピンアンプリファイアーを作成できること提案した.これはノイズで分極が不完全になったスピン流をまた完全に戻すための装置として有力である.更にナノディスク2つを直列に並べることにより,スピンバルブ・スピントランジスターを作成できることも提案した.2つの速うサイズのナノディスクを接続することでズピンの回転速度の違いを用いてスピンダイオードを作成できることも提案した.
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