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2008 年度 実績報告書

3次元不均質構造を取り入れた丸い地球で、大地震に伴う地殻変動・重力変化を見積もる

研究課題

研究課題/領域番号 20840012
研究機関東京大学

研究代表者

田中 愛幸  東京大学, 地震研究所, 助教 (90508350)

キーワード測地学 / 地震学 / レオロジー / 粘弾性 / 粘性緩和 / 余効変動 / プレート沈み込み帯 / 重力
研究概要

海溝型大地震によって生じる数10年スケールの地殻変動及び重力変化を計算するための3次元球体地球モデルを開発するため、当該年度に予定していた以下の2項目を実施した。1.プレート沈み込みによる粘性の水平不均質を取り入れた、球体粘弾性変形モデルの定式化 2.計算のためのソフトウェア開発
これにより、従来の手法では困難だった地球の曲率・自己重力・粘性の3次元的な不均質構造の3つの効果を、同時にかつ精度よくモデル化することに成功した。特に、大地震が頻発するプレート沈み込み帯では、沈み込むスラブによって、従来の摂動法を用いることでは取り扱うことのできない大きな粘性の水平不均質が生じていることが他の研究から明らかになっているが、これを扱うことが可能となった。また、開発したソフトウェアは任意の形状及びすべり方向の断層を扱えるように拡張した。次に、開発したモデルが有意義であることを示すため、典型的な大地震を模したシミュレーションを行った。その結果、スラブによる粘性の水平不均質を考慮した場合、重力ポテンシャルの変化速度がそれを考慮しない場合に比べて30%以上減衰することが初めて確かめられた。この効果は衛星重力観測の誤差を超えている。また、スラブによる効果は、GPS連続観測によって捉えられる地殻の水平・上下変動速度においても数十%に及び、観測精度に対して無視できないことが確かめられた。以上から、開発したモデル及びソフトウェアによって、余効変動モデルの高精炭化が実現され、大地震による広域的な重力変化を捉えることのできる衛星重力のデータを今までよりも厳密に解釈することが可能となった。今後、実際の地震によるデータに対して開発したモデルを適用し、有効性をさらに検証している予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Spectral finite element approach to postseismic deformation-in a viscoelastic self gravitating spherical Earth2009

    • 著者名/発表者名
      Yoshiyuki Tanaka
    • 雑誌名

      Geophysical Journal International 176

      ページ: 715-739

    • 査読あり
  • [学会発表] Post-seismic gravity variation caused by a great earthquakein subduction zone -spectral finite- element approact to consider 3-D viscousity strucre2008

    • 著者名/発表者名
      田中愛幸
    • 学会等名
      米国地球科学連合秋季大会
    • 発表場所
      アメリカサンフランシスコ
    • 年月日
      2008-12-15
  • [学会発表] スラブによる粘性水平不均衡を考慮した球体地球モデルにおける粘弾生余効変動2008

    • 著者名/発表者名
      田中愛幸
    • 学会等名
      日本測地学会
    • 発表場所
      北海道函館
    • 年月日
      2008-10-22

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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