研究概要 |
広く用いられているキルヒホッフの法則は粒子の形状の典型的長さが波長よりも十分大きな幾何光学近似の適用範囲内でのみ正しい理論であり、エアロゾルからの白熱光のように、波長が粒子サイズに大して十分大きくない条件ではキルヒホッフの法則を一般化した理論が必要である。電気力学と揺動散逸の定理に基づいて任意形状、任意サイズの物体からの熱輻射の強度を記述したのがRytov理論(S.M.Rytov, 1953)である。現在までに検証実験の困難さと、注目度の低さから、Rytov理論の実験的証拠は報告されていなかった。 本研究では高温に加熱された単一微粒子から放出される熱輻射(白熱)光の放出強度が、粒子が非球形の場合その形状に応じた異方性を持つことを実験により発見した。この観測された異方性は、Rytovの理論(S.M.Rytov 1953)によって整合的に説明出来た。これはRytov理論の初めての実験的証拠だと考えられる。
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