研究概要 |
反射的2次元正凸多面体に対して,3次元トーリックカラビヤウ多様体Xと2次元代数的トーラス内のアフィン曲線の族C(あるいはCと密接に関連したアフィン3次元多様体の族Z),Gelfand-Kapranov-Zelevinskyの超幾何系と呼ばれる偏微分方程式が定まる.局所ミラー対称性とはXの種数ゼロのグロモフ・ウィッテン不変量の生成関数とCの混合ホッジ構造の変形が,GKZ超幾何系を介して対応している現象を指す. 局所ミラー対称性はトーリック多様体内の3次元カラビヤウ多様体のミラー対称性から導かれた現象であり,ミラー対称性の最も重要な特徴(あるカラビヤウ多様体の種数ゼログロモフ・ウィッテン不変量の生成関数と別のカラビヤウ多様体のホッジ構造の間の対応)を受け継いでいる.しかしミラー対称性と局所ミラー対称性のアナロジーは完全ではない点がある.湯川結合,BCOV正則異常方程式,フロベニウス多様体の構造などはミラー対称性では重要な役割を果たすが,局所ミラー対称性においては定義されていなかった.本研究ではBatyrevによるアフィン曲線の族の混合ホッジ構造の変形の結果を用いて,湯川結合と正則異常方程式の定義を与えることに成功した.またBatyrevの結果をまねてアフィン3次元多様体の族Zの混合ホッジ構造の変形について調べ,(物理で期待されていたとおり)アフィン曲線族Cの場合と同様に記述されるという結果を得た.
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