研究概要 |
非圧縮性粘性流体の局所的構造との関連が深いBurgers渦と呼ばれるNavier-Stokes方程式のある特殊な定常解について研究を進めた。Burgers渦は具体的な関数でexplicitに表される軸対称なものと、具体的には表示できない非軸対称なものが考えられる。非軸対称なBurgers渦についてはそれらが実際に存在するか否かが未解決であったが、本研究によって数学的に厳密にその存在を示すことができた。Burgers渦は定常解であるため、それが小さな擾乱に対して安定かどうかという問題は、流体の局所構造の理解のためにも重要である。既存の研究によって擾乱が2次元的な流れである場合にはBurgers渦の安定性はある程度解明されていた。しかし、擾乱が3次元的な流れである場合、3次元渦度方程式と呼ばれる複雑な非線形偏微分方程式の解析が必要となり、数学的には本質的に未解決であった。本研究におけるプロジェクトの中で、研究代表者はこの分野の専門家であるThierry Gallay氏(Grenoble, France)との共同研究を行い、Burgers渦が3次元的な擾乱に対しても安定であることを厳密に証明することに成功した。この研究成果については近く公表する予定である。
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