研究概要 |
本年度は,格子点集合に付随する微分方程式系であるA超幾何微分方程式の特性サイクルについての研究を行った.昨年度トーリック多様体上の近傍サイクルの研究の応用として特性サイクル公式を再証明したが,本年度はこの結果を発展させるための計算プログラムの構成および数値実験を行った.また,昨年度に引き続き,近傍サイクルを中心とした層の超局所解析的手法によるミルナーファイバーのモノドロミーについての研究を行った.多項式による超曲面や完全交叉多様体の特異点におけるミルナーファイバーのモノドロミーゼータ関数は,多項式のニュートン多面体に関する非退化性の仮定の下で,ニュートン多面体の組み合わせ量を用いて記述できる.これはモノドロミーの固有値の情報を取り出すもので,モノドロミーの半単純部分の情報がニュートン多面体を用いて記述できる.本年度は,ドネフ・ロゼールのモチビックミルナーファイパーの理論とダニロフ・コバンスキーのトーラス内の非退化超曲面の混合ホッジ構造の結果を拡張し,ミルナーファイバーのモノドロミーの冪零部分の情報を多項式のニュートン多面体の情報により記述する研究を行った.特に,また,多項式による超曲面の無限遠点まわりでの大域逆像の大域的モノドロミーについても,その冪零部分について類似の結果を得ている.
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