研究課題
カロリメータカメラ用の信号多重化回路に関して大きな前進を遂げた。極低温4Kで用いるSQUID電流計はフィードバックを用いて動作させることが必要である。信号多重化の際にはカロリメータからの信号は変調されており、MHzに達する信号帯域を持つ。SQUIDフィードバック回路は、このMHzの信号を安定に読み出す必要があるが、低温部と室温部を結ぶ配線による位相の遅れが多重化における困難であった。我々は室温でいったん信号を復調し、位相の遅れを補償することでこの困難を克服する回路を提案し、開発を行った。そして、実際にSQUIDと組み合わせて駆動実験を行い、この原理が設計通りに働くことを実験で示した。これまでは400kHz程度でしか行えなかった変調の帯域を2MHzまで拡大することができた。ループゲイン、ノイズレベル共に設計通りであった。これにより、4素子程度しか可能でなかった多重化を20素子まで多重化できる目処がたった。X線観測による銀河間の未観測のバリオンの観測においては、「すざく」衛星を用いた観測を増やし研究を続けている。未観測のバリオンの正体は中高温銀河間物質だと考えられ、赤方偏移した高階電離の酸素輝線を捉えることがその存在を証明する確固たる証拠となる。我々は中高温銀河間物質の密度が大きいと考えられる銀河団周辺部に注目して探査を行っている。具体的には銀河団A2142、Shapley超銀河団の観測、解析を行った。有意な酸素輝線は検出されていないが、輝線強度に制限をつけることができた。Shapley超銀河団には酸素輝線でなく連続成分としての放射の存在が示唆され、その有意性や起源について考察を現在行っている。
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