研究課題
近傍宇宙のバリオンの半分を占めると考えられながら未だ検出されていないWHIM(Warm-hot intergalactic medium)の検出をめざし観測的研究を行った。「すざく」衛星でA2142銀河団周辺部、Shapley, Sculptor超銀河団フィラメントを観測し、WHIMの証拠となる電離した酸素輝線を探査した。全ての銀河団、超銀河団で検出には至らなかったが、強い上限値を得た。観測結果は、これらの領域のバリオン密度が平均バリオン密度の300倍以下であることを示唆していた。宇宙の構造進化のシミュレーションから予想される銀河団周辺部の密度、温度と、得られた酸素強度を比較し、観測結果に矛盾がないことを示した。さらに、数値シミュレーションを用い、マイクロカロリメータを搭載する将来ミッションでの検出可能性を議論した。期待される検出数、温度決定精度、WHIMの3Dマップについて、構造進化のモデルの違いによりどの程度観測結果が異なるかを導いた。カロリメータは極低温検出器であり、多画素のカメラの実現には極低温での熱負荷を抑えるために信号多重化が必要となる。その実現のための検出器開発として、課題となる配線による位相の遅れを補償する回路の開発を継続した。多重化の画素数増加に対応するため、4チャンネル多重化可能な回路の設計、開発を行った。また、信号多重化部に入力コイルを8つもつ8入力SQUIDを用い、人工衛星搭載用のプロトタイプ冷凍機と組み合わせた系で安定に動作することを実証した。帯域は2MHzを達成し、1素子の信号帯域が100kHz程度であることを考えると8画素の多重化に目処を付けたことに相当する。また、ノイズレベル、回路のループゲインにも問題がないことを示した。
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