研究概要 |
Grignardメタセシス重合を基とし、末端に1,1-ジフェニルエチレン(DPE)を有する完全頭尾結合型ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)の合成に成功した。条件を最適化したところ、DPEが両鎖末端に90%以上の収率で官能基が導入されていることを見出した。さらに、リビングアニオン重合法との複合技術により、P3HT末端のDPEとポリスチリルリチウムの1:1付加反応を行うことで、構造の明確なCoil-Rod-Coil型のABAトリブロック共重合体の合成に初めて成功した。この手法を展開し、DPEとブチルリチウムとの1:1反応後、メタクリル酸メチルをリビングアニオン重合することで別種の新規PMMA-P3HT-PMMAブロック共重合体も収率よく合成することができた。目的の構造はMALDI-TOF mass、NMR、GPC、GPC-RALLS、UV-vis、TGAを用いて確認した。さらにDSC及びAFM測定より、いずれのサンプルも15-20nmのドメイン幅でナノファイバー状のミクロ相分離形態を取ることが明らかとなった。現在、n型半導体であるフラーレン誘導体[6,6]-フェニル-C61-酪酸メチルエステル(PCBM)とのブレンド膜を光電変換層とする太陽電池特性について検討しているところである。また、別途合成した結晶・非晶性P3HT-b-ポリ(3-フェノキシメチルチオフェン)とPCBMのブレンド膜を用いた有機薄膜太陽電池デバイスは、既に評価済みであり、高い光電変換効率2.64%が達成できた。得られた結果は次世代に向けた極めて重要な太陽光エネルギー開発の一助となることが期待される。
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