本研究では通常の化学液相法での合成が困難な易酸化性元素の非酸化物や高融点材料ナノ粒子合成のための新規液相プロセスの一つとして、「液相レーザーアブレーション法」に着目した。 有機溶媒中に分散させたホウ素粒子をレーザー照射することにより炭化ホウ素が得られることを見出してきたが、平成20年度はレーザー照射強度や用いる液相溶媒の種類が生成物に及ぼす影響を調査した。0.03Wのレーザー強度では炭化ホウ素のみを得ることが出来たのに対し、照射強度の増加に従い、ホウ酸の生成が顕著となり、炭化ホウ素の生成率が減少した。これらの結果から、ホウ素の様な易酸化性元素を含む非酸化物(本研究では炭化物)の合成を行う場合、比較的弱いレーザー強度での照射により酸化物の生成が抑制されることが明らかとなった。また、種々の液相中でのレーザー照射後の生成物のサイズを比較したところ、用いる液相の誘電率が減少するに従い得られる炭化ホウ素粒子の平均粒径が大きくなることが明らかとなった。液相分子の粒子表面への溶媒和の程度により粒子間の凝集の程度が変化することにより生成炭化ホウ素粒子のサイズが影響を受けたためと考えられる。
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