生体高分子であるDNAは、高度な自己相補認識能を有しており、DNA配列をプログラムすることでナノ構造体を構築することができるため、ナノ材料としての応用が期待されている。さらに、電子あるいはホールを輸送する分子ワイヤーとして働くことが明らかとなっており、導電性材料としての応用も期待されている。本研究では、生体分子および分子材料としてのDNAの特徴を生かし、機能性分子の集積化を電極上で行うとともに、光電応答を示すDNAナノ構造体を構築することを目的として研究を行った。光によって電子移動を誘起する性質を持つアントラキノン(AQ)およびナフタルイミド(NI)を導入した修飾核酸塩基三リン酸体の合成を行い、テンプレート配列に対応した修飾核酸塩基の配列選択的な導入を試みるとともに、作製した機能性核酸の光電応答について検討した。ポリメラーゼの基質としてデオキシウリジン三リン酸体の5位にアセチレンリンカーを介して、AQおよびNIを導入した修飾三リン酸体を合成した。修飾三リン酸体を基質としたポリメラーゼ反応を行うことで配列情報に基づいた機能分子の導入が可能であることを、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法を用いて明らかにした。さらに、電極上におけるポリメラーゼ反応を利用してDNAのへの機能分子の連続的な取り込みを行うことで、光電応答を示すDNA修飾電極の作製が可能であることを明らかにした。
|