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2008 年度 実績報告書

縮環π電子系ナノリボンの創製と機能開拓

研究課題

研究課題/領域番号 20850036
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

岡本 敏宏  独立行政法人理化学研究所, 機能性ソフトマテリアル研究チーム, 基幹研究所研究員 (80469931)

キーワードチオフェンナノリボン / ディスク状分子 / 有機半導体 / 分子集合体 / 電荷輸送 / 酸化的環化反応 / 二次元シート / πスタッキング
研究概要

グラフェンはグラファイトの構成単位でsp^2結合した炭素からなる単原子厚の二次元構造であり、シリコンを超える高い電子移動度、特異な量子効果、高電導性など興味深い物性を持ち、ごく最近、活発に研究が展開されている化合物である。今年度は、最もシンプルな硫黄類縁体であるベンゾトリチオフェン誘導体に着目し、誘導体の効率的合成法およびその基礎物性について検討した。
ベンゾトリチオフェン誘導体の前駆体であるβ位連結オリゴチオフェンは対応するジブロモチオフェンとトリブチルスタニルチオフェンとのStilleカップリング反応により合成した。キー反応である環化反応は、塩化鉄を用いた酸化的環化、もしくは、有機金属試薬を用いた分子内環化反応により、ディスク上分子であるベンゾトリチオフェン誘導体を良好な収率で得ることに成功した。サイクリックボルタンメトリーにより、得られた誘導体はすべて高い電子供与性を有し、可逆な酸化反応を受けることを確認した。さらに、側鎖がエチル基とチエニル基の良質な単結晶を得ることに成功し、X線構造解析によりそれらの結晶構造を明らかにした。例えば、チエニル基の結晶中では、ベンゾトリチオフェン骨格が一次元に集積してリボン構造を形成し、さらに隣り合うリボン同士は、両末端の2つのチオフェン環のπスタッキングによって連結し、結果として二次元シートが形成されている。ベンゾトリチオフェン誘導体の電荷輸送特性を調べる目的で、それぞれのキャストフィルムを用いて、物質の本質的な電導挙動の評価が可能な非接触電導度測定を行った。その結果、今回デザインした誘導体の多くが高いホール移動度を示すことを見出した。今後、得られた単結晶を用いた非接触電導度測定を行い、電荷輸送の異方性についても検討する予定である。また、基本ユニットとして共役高分子を合成し、有機エレクトロニクス材料としての展開を図る。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] チオフェン縮環π-ディスクをコンポーネントとする分子集合体の構築とその機能2009

    • 著者名/発表者名
      小川佐保, 岡本敏宏, 福島孝典, 相田卓三
    • 学会等名
      日本化学会第89春季年会(2009)
    • 発表場所
      日本大学船橋キャンパス
    • 年月日
      2009-03-29
  • [学会発表] ジベンゾナフタセン骨格を基盤とする新規液晶性有機半導体の開発2009

    • 著者名/発表者名
      長嶺有花, 岡本敏宏, 梶谷孝, 福島孝典, 相田卓三
    • 学会等名
      日本化学会第89春季年会(2009)
    • 発表場所
      日本大学船橋キャンパス
    • 年月日
      2009-03-28

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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