研究課題
本研究の全体構想は、太陽電池材料として優れた特性を有するシリコン(Si)結晶を、ナトリウム(Na)金属融液を用いた新しい手法を用いて作製することである。具体的には本手法を用いて、主にSi結晶の育成を様々な条件で試み、それらの形態や結晶性を評価する。さらに、アルカリ金属融液中でのSiの反応機構を明らかにし、本手法をSi単結晶の新しい育成手法として確立することを目的とする。本年度は初年度に作成したNa-Si二元系の状態図をもとに、Si結晶の形態制御に注力して研究を進めた。原料組成や加熱温度などの作製条件を制御することで、Si結晶の形態(Siクラスレート、膜状、単結晶、多孔質Si結晶など)を制御できることを明らかにした。また、Na蒸気とSi結晶の反応を調べることで、Na-Si溶液からSi結晶が生成するために必要なNa蒸気圧を明らかにした。本研究の成果はSi結晶の低温作製および高純度化へと応用が期待される。本研究の成果は金属学会にて口頭発表を行った。特許も出願済みである。また、研究を進めるなかで、金属間化合物のナトリウムシリサイド(NaSi)を原料とすることで、二重らせん形状を有する結晶Siのマイクロチューブが生成することを発見した。今後、マイクロデバイスや触媒担体など、特異な構造を利用したシリコンの新たな用途が開拓され、シリコン産業の発展に貢献することが期待される。本研究の成果はドイツの国際化学総合雑誌Angewandte Chemie International Editionに掲載予定である。特許も出願済みである。
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