本研究では、はじめに単一圧電振動子を用いて、ボルト締結状態における非線形超音波の検出を試みた。次に、DLPTを用いた2次高調波検出システムによりボルト締結状態における非線形超音波の検出実験を行った。発振器よりバースト正弦波を発振し、有限振幅超音波を送波できる程度に高周波増幅器で電圧を増幅して駆動した。本研究では駆動周波数を500kHz〜2MHzの様々な周波数で検討した。また、負荷の変動に伴うDLPTとの整合のずれは整合回路により整合をとった。DLPTの電気的接続に関しては、有限振幅音波送波時には並列接続、非線形超音波受波時には直列接続とする。申請者は電気的接続の切り換えはアナログスイッチを自動制御するシステムをすでに構築している。受波波形信号はオシロスコープの高速フーリエ変換機能を用いて、リアルタイムで非線形超音波を観測した。このようなシステムで、ボルト締結状態から発生する非線形超音波を検出した。 実験においでは、ボルト締結のトルク値を変化させ、2次高調波成分の検出を行った。特に、1) ボルトのみの場合、2) ナットを付けた場合(締め付けなし)、3) トルクレンチで各トルク値で締め付けた場合、の様々な状況における、2次高調波成分を検出した。最大で10dB程度の2次高調波発生量の変化が確認された。
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