研究概要 |
本研究では、二層型圧電振動子(DLPT)を用いた2次高調波検出システムを改良し,ボルト締結状態における非線形超音波の検出に適用した。2次高調波抽出のための信号処理であるパルスインバージョンアベレージングを行うため,正位相および逆位相を交互に発振するバースト正弦波を作成し任意波形発振器を用いて発振した。この信号は有限振幅超音波を送波できる程度に高周波増幅器で電圧を増幅され,DLPTに印加された。DLPTの電気的接続の切り換えは,有限振幅音波送波時には並列接続、非線形超音波受波時には直列接続となるよう,アナログスイッチを用いて自動制御される。受波波形信号はオシロスコープの高速フーリエ変換機能を用いて、リアルタイムで非線形超音波成分を観測した。 ボルトは強度区分4.8,M12の六角ボルトを用いた.ボルトの頭部に,DLPTを接触させるため,実験前に回転研磨機を用いてボルト頭部を十分に研磨した。 実験においては、はじめにトルクと軸力の関係をロードワッシャを用いて測定した。次に,ボルト締結の軸力を変化させ、2次高調波成分の検出を行った。前年度と異なる点としては,特に,1)ナットを伴ったままの測定,2)ボルトの長さを変えた場合,3)DLPTの接着状態を変えた場合,などの状況において実験した。最大で20dB程度の2次高調波発生量の急激な変化が確認された。本手法のボルト締結状態評価への可能性が示せた。
|