研究概要 |
本研究の目的は,体験記録情報を元に,メディア技術を用いて行動を文脈として再構成し,リアルタイムに可視化し,記録した「体験」を「経験」として提示することで,体験記録者本人の日常行動を支援するための方法論を明らかにすることである.具体的には、本研究は以下の5つのサブテーマから構成される。 (1)体験記録情報の取得 (2)体験記録情報からの行動推定・文脈生成 (3)体験記録情報による行動・文脈のリアルタイムな可視化手法の構築 (4)行動・文脈に応じた検索手法の開発 (5)行動・文脈に応じた行動支援のための可視化手法の構築 昨年度(1),(2),(3)を中心に研究をすすめたため,当該年度においては、主に(3),(4),(5)を中心に研究を進めた.(3)としては,複数人の位置情報や画像情報をリアルタイムに可視化して,体験者に提示する仕組みの開発を行った.他の人の情報も同時に可視化することで行動の際の参考になり得ることがわかった.(4)としては,体験情報からシーンの切り出しを行い,画像に人が写っているのかの有無情報,加速度の状態,音の状態などをタグ付けし,ニューラルネットワークを利用して学習させ,体験情報の行動推定を行った.また,心拍と合わせた非日常体験の抽出,同じシーンをを文脈として可視化し提示することを行った.(5)としては,体験情報を単にセンサーなどで取るだけでなく,日常生活の中で利用している情報を取得し,それを用いて行動支援を行う試みを行った.具体的には,体験の中で消費情報に注目し,レシートから過去の消費行動を取得した.その消費パターンから習性を抽出し,未来の消費行動を予測する仕組みの開発を行った.その結果,消費予報情報を提示することで行動支援として影響を与えることがわかった.これらの結果を統合させることで,体験情報を元にした効果的な日常行動支援が可能となると考えられる.
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