本年度は、有限周波数特性に基づく制御系設計および前年度に得られた集中定数系に対する結果の分布定数系への一般化に重点を置いた。具体的には、(i)有限周波数特性解析(分布定数系)(ii)有限周波数制御系設計(iii)半正定値計画問題の双対性(分布定数系)の3つのサブテーマを、ビヘイビアアプローチの消散性理論で重要な役割を果たす2次微分形式に基づいて考察した。ロバスト制御系設計および実験による検証は、着手できなかったため今後の研究課題として残った。 (i)有限周波数特性解析では、分布定数系の有限周波数特性が変化率に制約のあるサブシステムの消散性に等価であることを示し、前年度の集中定数系に対する結果を一般化させた。本成果はEuropean Control Conference 2009にて発表し、現在国際論文誌に投稿準備中である。 (ii)有限周波数制御系設計は、有限周波数特性を達成するプラントの設計条件を、消散性理論の枠組みにて集中定数系と分布定数系に対してそれぞれ導出した。本成果は、SICE第38回制御理論シンポジウムおよび第10回SICE制御部門大会にて発表した。また、SICE Annual Conference 2010などの国際会議にて発表予定であり、国際論文誌にも投稿準備中である。 (iii)半正定値計画問題の双対性に関しては、従来の線形行列不等式に基づく枠組みを分布定数系に対する2次微分形式へと展開し、前年度の集中定数系に対する結果を一般化した。本成果はICROS-SICE International Joint Conference 2009にて発表し、現在国際論文誌に投稿準備中である。
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