都市河川及び水源を対象に、ポイントソース及びノンポイントソースからのフッ素系界面活性剤(PFSs)の負荷量とリスクを評価することを本研究の目的とした。 本年度は、都市域における汚水と雨天時排水に含まれるPFSsの比較を行った。雨天時排水に含まれるPFSsは汚水と同程度の濃度であり、特に偶数鎖や長鎖のPFSsが相対的に多く含まれていることが分かった。東京都からの負荷量を評価した結果、雨天時排水中の長鎖PFSs負荷量は汚水からの負荷量と同程度であり、雨天時排水が長鎖PFSsの重要な起源であることが明らかになった。PFSsは浄水処理過程で除去されないことが知られている。本研究により、上流側からの都市排水の影響を受けるような水源では、ノンポイントソースからの負荷も考慮に入れてリスクを評価する必要性が示唆された。 さらに、PFSsのノンポイント汚染源として道路塵埃を評価した。東京都内の幹線及び住宅地道路塵埃を採取し、粒径画分ごとのPFSsを調査した。微粒子において、幹線道路塵埃の方が住宅地道路塵埃よりもPFSs含有率が高かった。また、幹線道路塵埃では、微粒子の方が粗粒子よりもPFSs含有率が高かった。これらの結果から、交通活動によって排出される微粒子が道路塵埃中のPFSsの重要な起源のひとつであることが分かった。さらに、雨天時排水と道路塵埃とのPFSsの組成比を比較することによって、雨天時排水中のPFSsは道路塵埃に含まれるPFSsが溶存したと推測できた。交通活動を起源のひとつとするPFSsが道路塵埃中に蓄積し、雨天時排水として水環境中へ流出することが示唆された。
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