研究概要 |
細胞内のシステムをナノマシンのインフラストラクチャとして使用するイントラセルラーナノロボティクスの提案を行い,技術的な検討を行った.20年度は接着タンパク質の空間的パターンを入力として用いることで,細胞膜の伸展を制御し細胞内へのナノパーツを導入させることが可能であることを示した.21年度は,これらの技術を発展させ,ナノマシンの原動力を生体から取得し,微細な構造をボトムアップ的に組み上げる,自立的なナノマシンを構築することを目標とした.細胞の受容器に対する細胞外基質のタンパク質パターンを入力として構成し,パターンの違いによる細胞運動の違いを観察した. 2次元の平面を運動している細胞から3次元の運動を誘起させ,フォトレジストSU-8の三角形状マイクロパーツ(長さ180μm,幅80μm)を細胞運動の力によって自律的に立ち上げることに成功した,1辺100μmの矩形細胞接着性パターンと非接着性パターンが交互に存在する市松模様をガラス基板上にパターンニングしたところ,播種した筋芽細胞C2C12の細胞接着力に非対称性が生じ,仮足を伸ばしながら細胞接着性パターン間を飛び石状に移動した.このとき細胞にマイクロパーツを接着させると,基板上を細胞運動によりマイクロパーツが水平に搬送されるだけではなく,基板から垂直に立ち上がる動作を生成できることを確認した.このとき細胞非接着性パターンをまたぐ細胞の細胞形状に非対称性が生じ,搬送しているマイクレパーツに回転モーメントが与えられたと考えられる.
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