研究概要 |
本研究では,ディジタルホログラフィックPIVを用いて,3次元速度場だけではなく同時に構造体の3次元変形の計測を行うことで,流体と構造体の3次元連成運動の計測を可能とする計測法の開発を行う.研究の意義は,計算と実験の3次元連成解析の出力結果を直接比較することが可能になる.計算と実験の直接比較により,数値計算で提案される計算モデルの妥当性の検討や,計算流体力学(CFD)と実験流体力学(EFD)の融合に貢献できる.研究進行方法は,本研究室で開発したディジタルホログラフィックPIVを用いて,(1)構造体の3次元変形と(2)複雑境界周りの3次元速度場の計測法を個別に開発する.これら2つを合わせることで,本研究の目的である(3)流体と構造体の3次元連成運動の計測法を開発する.平成20年度は,3次元流体計測手法の1つであるディジタルホログラフィックPIV(DHPIV)を,(1)構造体の3次元変形計測に応用した.従来の3次元変位計測は,点計測であるひずみゲージや加速度センサなどを,構造体内部に複数設置することで実施されてきた.しかし,小さな模型で実験を行う際には,センサの大きさや配線により,設置数が制限される.本研究では,センサの代わりに構造体内部に微小な粒子を一様に分散させ,DHPIVを用いて3次元変位を多点計測した.平成20年度に目標とした基本的な実証研究が充分に達成できたと評価している.特に重要な実績として,構造体の3次元内部変位計測の実証が挙げられる.次の(2)(3)の準備として,計測手法の基礎を確立することができた.さらに(1)を一般化するには,用いたディジタルホログラフィの計測精度向上が必要である.すでに幾つかの改善策が提案されているので,解決可能の課題と認識している.
|