本研究達成のためには高品質非極性面G a Nが必須であるため、平成20年度における研究実施計画に習い非極性面G a Nの結晶成長を行った。当初の高品質非極性面G a Nの成長計画においてはG a Nを成長した後、一旦成長炉からG a Nを取り出す作業が必要であった。 そのため、商業用の製品に用いることはコスト的に不利であり、また実験の効率の観点からも時間がより多くかかる問題が残っていた。そこで、この問題を解決するために新たな手法を考案し成長炉からG a Nを取り出すことなく高品質な非極性面G a Nを成長させることに成功した。その手法とは非極性面G a Nを成長させる基板であるサファイアに溝加工を施し、その溝の側壁からのみG a Nを成長させるといった方法である。この手法は世界で初めての成功例であり、コストパフォーマンス、実験効率を上げることができる手法である。同手法で成長させた非極性面G a Nの結晶品質は、これまでの一旦成長炉からG a Nを取り出す作業を経て得られたG a Nの結晶品質と同等の結晶品質であった。走査型電子顕微鏡では平坦な表面が得られていることを確認した。また、転位密度を測定したところ10^8[/cm^2]前半であることが明らかとなった。これは当初の研究目的を大きくしのぐ研究成果であり、本研究のみならず他の研究への応用も期待できる。また、平成21年度においてG a I n Nを本手法で成長させたG a Nに成長させる場合に有効であり、本研究目標を達成するために重要な新手法を確立できた点で大きな意義がある。
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