研究課題
本研究は自治体主導の「空き家活用事業」に着目し、現状のシステムの評価を行った上で改修助成制度や自治体管理体制、地域住民参加を加えたシステム展開に向けた計画課題を明らかにすることを目的としている。平成21年度は「情報提供」型システムを導入している自治体及び地域団体の事業方式の特徴について分析を行った上で、改修助成制度や地域住民参加の導入に向けた展望と今後の計画課題を明らかにした。得られた知見は以下のとおりである。1) 中国・四国・九州地方で「情報提供」型システムを導入している103自治体のうち、自治体ホームページ上で空き家情報が公開されている73自治体について、掲載されている情報内容・情報量に差異が見られたため数量化III類を用いて掲載情報のパターン分類を行った。その結果、掲載情報パターンと自治体の空き家情報提供事業方式には関連が見られ、特に不動産業者や宅建業者と連携している場合には詳細な建築情報や改修に関する情報が提供されており、専門家の介入による効果が確認された。2) 空き家活用事業に取り組むNPO法人や地域団体においては、移住後の不安や地域とのトラブルを事前に防ぐため移住希望者と事前に数回の打ち合わせを行う場合や、清掃や軽微な修繕を行う場合、入居後のサポートを行う場合が見られ、自治体主体の場合と比較すると受け入れ前後で移住者とより密な関係性が築かれている点が評価される。3) 今後の展開に向けては、自治体の業務負担を軽減しながら充実した支援体制を整えることが重要課題であり、そのためには情報発信業務や経済的支援については行政が担い、現地調査や契約、改修サポート等の業務は専門家、空き家の手入れや受け入れサポート等は地域住民が行うといった、各々の利点を活かし地域内外における多様な機関・団体との連携の取り方を検討することが重要であると言える。
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