研究概要 |
本研究は,居住者と建築工事業者(以下、業者)の行為・属性が住宅管理の継続性や安心感に与える影響を探るものである。本年度の主たる研究成果は以下のとおりである。 1居住者と業者の継続関係やリフォーム工事の際の不安 居住者へのヒアリング調査により、業者の選定や継続関係の誘因やその背景の一端を、社会心理学の信頼理論を援用し明らかにした。 また、居住者へのアンケート調査から、現住宅の施工者の取り組みがその後の関係に与える影響、および、その存在がリフォーム工事の安心感に与える影響を示した。例えば、施工者の取り組みのうち、定期点検の結果を書類化,依頼がないときでも主体的に訪問すること,独自保証,入居後の連絡先の提示において,両者の継続関係維持に正の影響がみられた.また、リフォーム工事の際の安心感を低減には、施工者との継続関係だけでなく,施工者に満足していることが影響することがわかった。 2リフォーム工事・耐震改修における業者と居住者との関係 居住者へのヒアリング調査とアンケート調査により、業者の適切な情報提供や提案、両者の信頼関係がリフォームエ事と耐震改修を同時施工する誘因になる可能性が明らかになった。また、日頃リフォーム工事を依頼する業者と耐震改修工事の依頼先が必ずしも一致しないことがわかった。 一方、業者に対するアンケート調査において、業者の耐震化への取り組みの実態の一端を明らかにした。取り組みを阻害する要因として、居住者の資金不足、無理な注文といった居住者に起因するものもみられた。
|