本年度におこなった研究は以下のようにまとめられる。1.外乱抑制を可能とする低次元化モデル予測制御法:昨年度の研究では制御系に印加される未知外乱の抑制を図るため、min-max型の評価関数を導入し、評価関数の値を最大にする最悪外乱波形を明らかにした。そして、入力制約を有する離散時間線形系に対しモデル予測制御を低次元化した最適化問題から構成する一方法を導いた。本年度は、入力制約に加え状態制約を考慮した場合について考察をおこなった。状態制約を考慮するために制御系に印加される外乱はある有界な集合に含まれるものに限定した。そして、そのような外乱が印加されたとしても、制御系の入力・状態制約を満足させるようなモデル予測制御則を低次元化した最適化問題から構成する一方法を導いた。2.振動ダイナミクスを有する系に対する制約補償法:昨年度の研究では、既に構成した閉ループ系に対し補助的に加える補償入力と、制御器の状態設定を適切に表現する系の数学的記述を準備し、制御系に課された入出力制約を満足させる補償則の設計法を導いた。本年度は、重みを導入した場合について考察を進めた。そして、重みを含む閉ループ系に対し主要な入出力波形を構成し、その結果を用い良好な性能を達成する補償則の構成法を導出した。
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