研究概要 |
圧力勾配駆動の平行平板間ポアズイユ流において遷移レイノルズ数域の大規模DNSを実施した.その上で,パラメータはレイノルズ数のみ(プラントル数は0.71で一定)としたが,乱流縞(乱れの間欠性)のレイノルズ数依存性を調べるために,レイノルズ数を段階的に区切り,系統的解析を行った.計算領域は最小でも320h×h×200hとして,大型並列計算機を利用して行った.この大規模DNSを通して,乱流縞の形状やスケールのレイノルズ数依存性を把握した.壁面相対運動により駆動される平面クエット流についても遷移レイノルズ数域の大規模DNSを行い,ポアズイユ流と同様に乱流縞が観察されたが,その縞構造のスケールや角度には違いが見受けられた.乱流縞はコア領域に及ぶ大規模な構造でありがながら,粘性長さによってスケーリングされることが見出され,ポアズイユ流では粘性長さの5千〜6千倍の主流方向間隔,2千程度のスパン方向を有し,角度は主流方向に対して約21度であることが分かった,一方,クエット流では,主流方向に4千前後,スパン方向に2千前後であり,角度は約27度であった. また,乱流エネルギー(レイノルズ応力や温度バリアンス等も含め)収支の二次元空間分布を調べることで,乱流を局所的にも維持する要因,熱輸送・熱伝達促進のメカニズムを解明している.平行して小片状粒子のフレークを用いた可視化実験を行い, DNSで得られた結果と比較することができた.実験で得られた可視化画像との比較のため,数値計算においてフレークを模擬したシミュレーションを行い,実験との詳細な比較も行った. 上記と同様に,回転平面クエット流(系がスパン方向を軸に回転)の遷移域においても大規模DNSを行い,ポアズイユ流との比較を,特に乱流縞に注目して行った.これらの研究成果は,国際学会での口頭発表や雑誌論文の執筆・投稿をする予定である.
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