本申請による研究目的は、環境問題への対策を視野とした装置開発であり、より低温で効率よく十分に高品質なZnO薄膜を、大気圧下で成長させることの出来る新手法を開発することである。本手法が完成すれば、これまでに達成が困難であった安定的なp型ZnO薄膜の成長にもつながり、そのZnO薄膜のp型化の達成が各種デバイスへの応用へとつながる。それと同時に装置事業としての展開や、デバイス化へ発展させるなど、将来展望も考えられ、非常に有意義な研究であると言える。 これまで行ってきた大気圧プロセスのミストCVD法と、大気圧プラズマを組み合わせる事を考案し、それらを組み合わせた簡易的な装置を設計・作製した。この装置を用いて成膜実験を行ったところ、200℃程度の低温でもZnO薄膜の成長が確認された。これまでミストCVD法では、200度程度の低温での薄膜成長が困難であったことから、プラズマを付加させたことによる効果が見られている。しかしながら、成長したZnO薄膜の膜厚はあまりにも薄く、原料利用効率が悪い。この原因は、装置構造によるところもあるが、プラズマを用いたことによって、原料の気相中での反応確率が増加し、ZnOの微粒子となってしまっている為であると思われる。それに伴い、表面反応も著しく阻害されていることが考えられる。 これらの実験を通して、装置の不具合の改善を行っている。また、同時に表面反応を促進させるための手法の開発を考案中である。
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