【研究の目的】 医療や生体材料分析、UV環境対策などの環境モニター、超高密度光ディスク用ピックアップなどにおいて需要が高まると考えられている、可視域短波長・紫外領域に対応する高回折効率を持つガラス材料三次元ナノ構造の作製とその分光特性評価を目指し、測定システムの構築、作製プロセスの検討、ガラス材料三次元ナノ構造における反射率計算を行った。 【研究の成果】 (1)分光測定システムの構築 グラフィカルプログラミング環境であるLabVIEWにより、試料台を固定した回転ステージを自動制御し、試料からの反射スペクトルの角度依存性を測定するための測定システムを構築した。ハロゲンランプからの入射光を光ファイバにより試料に照射し、その反射光を光ファイバで分光器へ取り込み、スペクトルとした。凸レンズによる入射光の集光においては、入射光に入射角度分布が生じ、スペクトルの半値幅に広がりが観測されたため、発散光を平行光とするアクロマティックレンズを用いて、入射光の入射角度分布を低減させた。構築した分光測定システムにおいては、Si基板上に試作した面積1mm^2の反射型回折格子構造(サブミクロンスケール)の分光測定を実現した。 (2)ガラス材料三次元ナノ構造の作製プロセスの検討 Si基板上に高周波イオンプレーティング法によりガラス材料光学多層膜を作製し、電子線リソグラフィーとドライエッチングにより、数100nmスケールの三次元ナノ構造を作製する。ドライエッチングにおいては、ガラス材料光学多層膜を選択的にエッチングするために、アルゴンガスと酸素ガスの混合ガスを用いたエッチングを検討した。 (3)ガラス材料光学多層膜における反射率計算 ガラス材料であるSiO_2、TiO_2、Al_2O_3を組み合わせて、膜厚(数100mm)と積層回数の異なる光学多層膜を設計し、それぞれにおける反射率の理論計算を行った。
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