研究概要 |
本研究では,自由度の高いモジュラー型自在エフェクターの開発を目的として,異環境間に対しても動力伝達を可能にする,永久磁石を用いた磁気歯車方式による非接触式動力伝達機構の技術を微細加工へ応用した.近年,5軸など複数の軸を備えた加工機による3次元複雑形状加工が主流になっている.しかし,加工反力の大きな機械加工では微細加工への応用は困難である.そこで,加工反力が小さく,高精度に加工することが出来るワイヤ放電加工機に,モジュラー型自在エフェクターを取り付け,回転軸を加えた.一般的な放電加工は,液中雰囲気において加工が進行するため,回転軸用の駆動源を加工機に実装することは困難である.本研究では,動力部と駆動部との動力を非接触で伝達することが可能であるため,自在エフェクターを密封することで対応した.また,駆動軸にステッピングモータを用いることで回転割出を可能にしている.本エフェクターを用いることで,直径5mmのアルミニウムの丸棒に対して半径1mmの曲面溝形状を加工し,回転割出を行うことで3mmの四角柱を加工した.さらに,これらを複合した形状創成加工を実施し,通常の旋盤加工では困難な加工を実現した. また,本機構を微細穴加工へ適用した.工具に直径0.1mm以下の微細ドリルを用い,微細穴加工を実施した.本機構にはトルクリミッタ機能を有しているため,工具に一定以上の負荷が加えられると,磁気歯車が脱調する.この結果,工具の折損を回避することが可能となった.試料表面に微細穴を加工することで,位置情報の取得が容易になった.また,表面を除去加工した際,深さ情報を取得するため,斜め15度の微細穴加工を実施し,実現した.
|