プラズマ電流と逆方向に中性粒子ビームを入射した場合の高速イオン損失効果を取り込むように粒子軌道追跡コードOFMCを改造し、逆方向入射の場合でも径方向電流が引き起こすプラズマ回転を評価できるようになった。高速粒子が引き起こす径方向電流によるプラズマ回転の研究によって、プラズマ・核融合学会の第14回学術奨励賞を受賞した。 粒子輸送は運動量輸送に重要な役割を果たしているため、TASK/TXにおいて乱流が駆動する粒子輸送のモデリングを行った。TASK/TXは運動方程式と連続の式を解いており、通常の輸送コードのように粒子輸送方程式に輸送モデルで評価した粒子拡散係数を直接入れ込むことが出来ない。そこで、運動方程式を通じて準線形粒子束を引き起こすモデルを構築し、その妥当性を確かめた。中性粒子の粒子源効果もプラズマ密度に影響するため、中性粒子のコアにおける挙動を良く予測することが重要である。モンテカルロコードは輸送コードに組み込むには計算時間がかかるため、拡散方程式で近似できる中性粒子輸送モデルを構築した。モンテカルロコードとベンチマークし、その妥当性を確かめた。 核燃焼プラズマにおけるアルファ粒子は等方的に生成されるため衝突減速トルクは正味ゼロであるが、軌道効果を考えると径方向電流を介したトルクが方向性を持って生じる可能性がある。この効果を検証するため、OFMCコードを改造し、アルファ粒子が引き起こす径方向電流の効果を考慮できるようにした。予備的な計算結果では逆方向のトルクが生じているが、結果の詳細な検討とTASK/TXにおけるアルファ粒子挙動のモデル化は将来の課題となっている。TASK/TXと平衡コードとの結合を考えるため、まず統合輸送コードTOPICSにおける輸送ソルバーと平衡ソルバーの結合状況を調べた。また、体積拡大フェーズのシミュレーションが行えるようにTOPICSを改造した。
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