研究概要 |
宇宙往還機や再突入機の熱防御システムを開発するために模擬する高エンタルピー気流を生成する必要がある,この高エンタルピー気流の生成にはアーク加熱風洞、誘導加熱風洞がよく用いられているが,これらの風洞により生成された気流は熱化学非平衡であるため気流の諸特性は正確にわかっていない.近年このような高エンタルピー流を診断するために非接触な分光測定,特に発光分光法やレーザー誘起蛍光法が行われており,気流中の並進,回転,振動,電子励起温度が明らかにされつつある.そこで本研究では高感度レーザー吸収分光法として近年着目されているキャビティエンハンスト法を宇宙航空研究開発機構調布航空宇宙センターに設置されている大型アーク加熱風洞に適用し,気流の並進温度,数密度を測定することを目的としている.そのために昨年度は真空チェンバー両側のフランジにブリュースター窓を取り付け,その外側に一対の高反射ミラーを固定することによって高反射ミラーを真空チェンバー外部に設置したままキャビティエンハンスト法を適用できる系を構築した.しかしながら酸素原子による吸収信号を取得することはできなかった.その原因としては次のような原因のため感度が十分でなかったことが考えられ,今年度これらの問題点を改善する系を構築するための知見が得られた. (1)反射ミラーとして誘電体ミラーを用いたため,ミラーにおけるレーザー光の損失が大きかった. (2)ポンプや電源等の振動によってサイドバンドが大きくなってしまった.
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