研究概要 |
宇宙往還機や再突入機の熱防御システムを開発するために模擬する高エンタルピー気流を生成する必要がある.この高エンタルピー気流の生成にはアーク加熱風洞、誘導加熱風洞がよく用いられているが,これらの風洞により生成された気流は熱化学非平衡であるため気流の諸特性は正確にわかっていない.近年このような高エンタルピー流を診断するために非接触な分光測定,特に発光分光法やレーザー誘起蛍光法が行われており,気流中の並進,回転,振動,電子励起温度が明らかにされつつある.そこで本研究では高感度レーザー吸収分光法として近年着目されているキャビティエンハンスト法を宇宙航空研究開発機構調布航空宇宙センターに設置されている大型アーク加熱風洞に適用し,気流の並進温度,数密度を測定することを目的としている.20年度の研究において真空チェンバーの両側のフランジにブリュースター窓を取り付け,その外側に一対の高反射ミラーを固定することによって高反射ミラーを真空チェンバー外部に設置したままキャビティエンハンスト法を適用できる系を構築した.しかしながらポンプや電源等の振動によって感度やS/N比が悪化してしまった.そこで21年度においてレーザー変位計を用いてチェンバーの振動を測定したところ±15μm, 24Hz程度の振動であることがわかった.またテストプラズマとしてマイクロ波放電セルを用い、自動ステージを用いて機械振動の影響を検証した.その結果,機械振動によって感度,S/N比が悪化することを定量的に確認することができた.
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