本研究では、ヒトのアフリカ集団、アジア集団、ヨーロッパ集団における1塩基多型(SNP)の集団毎の頻度データと、病原となるアミノ酸変異のデータが主に必要となるので、本年度はまずこれらのデータを収集した。 1.ヒトの集団別の1塩基多型の頻度データは、国際HapMap計画により利用可能となっているデータを使用した。HapMapのデータからは常染色体のデータ、およびアミノ酸配列をコードする領域に見られる1塩基多型のデータのみ抽出した。 2.ヒトの病原となるアミノ酸変異のデータは、タンパク質データベースであるSwiss-Protより抽出した。Swiss-Protからはヒトの遺伝子についてアミノ酸の多型が見られるものを抽出し、さらにそれぞれのアミノ酸多型について病気の原因となる多型とそうではない多型を区別した。 190通りのアミノ酸変異のうち、1塩基の変異のみで起こる75種類のアミノ酸変異を考え、上記2の結果から75種類のアミノ酸変異のそれぞれについて、病気のなりやすさの指標(Disease Index)を与える事が出来た。今後このDisease Indexに対して、上記1の結果からヒトのアフリカ集団、アジア集団、ヨーロッパ集団における出現頻度を比べ、病気に主眼を置いたヒト集団の適応の違いを議論する事を目標とする。
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