| 研究概要 |
多くの植物で葉緑体光定位運動は青色光によって誘導されるが、シロイヌナズナを用いた分子遺伝学的解析から青色光受容体としてフォトトロピン(phot1,phot2)が同定された。集合反応はphot1とphot2の両方によって、そして逃避反応はphot2によってのみ制御される。現在までに葉緑体光定位運動に関わる約10遺伝子(PHOT1,PHOT2,CHUP1,JAC1,KAC,WEB1,WEB2など)に関して、現在多面的な解析を行っている。今年度はJAC1,KAC,WEB1,WEB2に関して細胞内局在と複合体形成に関して解析した。特異的抗体を用いたウエスタンブロティンにより、JAC1は膜画分、WEB1は可溶性画分、KACは膜画分と可溶性画分両方で検出された。JAC1,KAC,WEB1タンパク質の量は様々な葉緑体運動の変異体で野生型と同程度存在するので、それら変異体における葉緑体運動の異常はJAC1,KAC,WEB1,WEB2各因子の量の制御における異常に起因しないことが示唆された。ゲル濾過によりKACとWEB1はそれぞれ複合体を形成していることが示唆された。GFP融合タンパク質の細胞内局在解析により、WEB1とWEB2は細胞質に局在していることが明らかとなった。web1とweb2変異体は葉緑体運動に関する形質が似ており、web1web2二重変異体もweb1あるいはweb2と形質がかわらないので、WEB1とWEB2は協調的に機能している可能性が高い。実際に、WEB1とWEB2は相互作用することが確認された。
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