研究概要 |
野外調査については、2008年10月に西表島(4日間)、2009年2月にエクアドル(約3週間)、2009年3月にマレーシア(10日間)に行き、それぞれアリの巣にすむヒゲブトハネカクシの調査を行った。とくにエクアドルでは、グンタイアリ類(Eciton,Labidus,Nomamyrmex,Neivamyrmex,Cheliomyrmex)のハネカクシの採集に成功し、似た形態をもち、同じグンタイアリ類(族は別)の東南アジア産種と比較するうえで重要な研究材料を得るに到った。 同時に、分類学的研究を進めており、アジア産種の新種記載やモノグラフの作成を進めている。とくに東南アジアでは、ヒメサスライアリ属(Aenictus)のアリから多数の新属を採集しており、記載が待たれている。その他の地域ではヒラタアリヤドリ属(Homoeusa)とその近縁属の分類学的検討を進めており、ユーラシア、北米、東アジアの標本が研究材料となっている。分類学研究の推進のみならず、あまり知られていない好蟻性昆虫の多様性を知らしめる意味でも重要な研究である。 分類学的研究の基礎となるヒゲブトハネカクシ亜科全体の系統解析も進めている。28S、16Sといった領域を用いて、実験を進めており、シーケンス情報を蓄積している。ヒゲブトハネカクシ亜科全体の十分な材料の収集には時間がかかるが、いくつかの分類群では、当面の研究に必要な情報が得られており、収敏形質の発見、大幅な分類学的。これらは逐次成果を公表したい。 論文発表では、好蟻性ハネカクシ類の分類、その他の好蟻性昆虫(ヒゲブトオサムシ亜科、ノミバエ科)の分類、好蟻性昆虫の主要な寄主であるケアリ属(Lasius)の系統を公表した。
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