野外調査に関しては、9月と11月、3月には半島マレーシァのUlu Gombak、 Cameron Highlandへ行き、ヒメサスライアリAenictus spp.の好蟻性昆虫の採集を行なった。これらの好蟻性昆虫を含め、その他にも非常の多くの好蟻性昆虫を採集するに至り、なかには明らかな新属を含んでいた。現在、いくつかの記載論文の執筆を進めている。 10月にはタイの環境庁の許可を得、2週間、タイ南部のKhao Luang国立公園において、同様の調査を行った。この分野では全く未開拓の調査域であたっため、季節柄、虫の数は多くなかったが、数多くの新種や未記録種を採集することができた。 1-2月の3週間、西アフリカのカメルーンを訪れ、サスライアリDorylus spp.の好蟻性昆虫の採集を行なった。アジアには分布しない分類群の採集に成功し、現在、市形態学的、分子系統学的研究に用いている。 すでに成果の一部は論文として出版しており、今後、記載分類の論文は、迅速に出版を進めていきたいと考えている。また、分子系統学的手法に基づく好蟻性ハネカクシ類の系統進化については、現在、ミトヨンドリアCOI領域、16S rRNA領域を主とした解析を進めており、すでにいくつかの興味深い成果が得られている。 今回の補助金の成果として、多数の新種や新属を発見したことにより、好蟻性昆虫のあまり知られていない多様性を示すとともに、好蟻性昆虫の系統進化を調査することより、それら好蟻性昆虫がどのように多様化しているのかが明らかになりつつある。
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