研究概要 |
これまでのミツバチを用いた研究から,遺伝子のプロモーター部位におけるメチル化シトシンが転写活性を促す可能性が示唆された.そして,ミツバチのゲノムの中には,メチル化シトシン結合部位とヒストン・アセチル化部位の両方を持つ新規の遺伝子toutatis, MBD-R2, CG2247が存在することが分かり,これがメチル化シトシン依存性の転写活性促進に重要な働きを担っていることが予想された.そこで本研究では,ミツバチにおける上記の新規遺伝子に着目し,メチル化シトシンが介する転写活性促進の分子メカニズムを解明することを目的とする. 平成20年度は,PCR法によりミツバチの転写共役因子群toutatis, MBD-R2, CG2247のクローニングを行った.初めに成虫の脳から作成したcDNAを用いてPCRを試みたが,どの遺伝子においてもPCR産物内に非翻訳部位や多数の終始コドンが含まれており,機能的な遺伝子として単離することができなかった.次に,ショウジョウバエを用いた研究により,メチル化シトシンは幼虫や蛹などの発生過程で多く含まれるとの報告があることから,ミツバチの幼虫や蛹のcDNAを用いてPCRを行ったが,成虫と同様の結果が得られた.平成21年度は手法を様々に変えて,上記遺伝子の機能的遺伝子としてのクローニングを目指す.
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