研究概要 |
本研究では、毒ヘビ血清新規蛋白質SSPsのCa^<2+>チャンネル結合性神経毒Triflinとアポトーシス誘導蛋白質Hv1に対する生理的阻害能、相互作用部位を調べることを目的としている。 研究成果 Triflinの相互作用ドメインの同定 大腸菌発現系を用いてTriflinの発現系構築を試みた。Triflinは封入体として得られたため、リフォールディング条件を確立し、培地1L当たり、約1mgのTriflinを得ることに成功した。また、SSP-2との結合にはTriflinのN末端ドメインが必要であることが分かった。 SSPsとHv1の相互作用解析 SSP-1の結合分子として見つかったHv1が他のSSPs(SSP-2,SSP-3,SSP-4,SSP-5)のに対しても結合するのかをBIAcore3000を用いて調べた。その結果、SSP-4も結合することが分かった。 Hv1の機能解析とHv1活性に対するSSPの影響 Hv1のメタロプロテアーゼとしての性質を調査した。天然基質(Fibrinogen、CollagenIV、Fibronectin、Vitronectin)を用いて、Hv1のプロテアーゼ活性の測定を行ったところ、Hv1はCollagenIV・Fibronectinを分解した。また、Hv1は合成基質[Moc Ac-Arg-Pro-Lys-Pro-Val-Glu-Nva-Trp-Arg-Lys(Dnp)-NH_2)]を分解した。その合成基質を用いてSSP-1単独、HSF単独をHv1に作用させたがHv1の活性を阻害せず、一方、SSP-1-HSF複合体はHv1の分解活性を阻害した。この結果は、HUVEC細胞を用いた実験でも再現性がとれ、SSP-1-HSF複合体がHv1の活性を抑制するという重要な結果を得た。
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