研究概要 |
大腸菌の新規形態形成因子RodZの解析を平成20年度に引き続き、行った。平成21年度の研究計画にあるように、膜タンパク質RodZと相互作用する因子の同定を行うために、RodZの精製の条件を検討した。その結果、ある種の界面活性剤存在下でRodZが効率よく可溶化されることが分かった。現在、この界面活性剤存在下でのより良いRodZの精製条件を検討しており、RodZと共に精製されるタンパク質をマススペックを用いて、解析する予定である。また、遺伝学的方法を用いても、RodZと相互作用する因子の探索を行った。rodZ欠損株の抑圧変異株を単離し、次世代ゲノムシークエンサーを用いて、それらの変異部位の同定を行った。その結果、mreB,pbp2,rodAという桿状細菌のシリンダー部分を合成する因子に変異が確認された。申請者らは、すでに前年度までに、RodZが大腸菌の細胞長の制御因子であること、具体的にはシリンダー部分の合成制御を介しているという仮説を立てていたが、これらの抑圧変異は、その仮説とよく一致する。すなわち、RodZはPBP2,RodAという細胞壁合成酵素およびそれを支配すると考えられるMreBを制御することにより、細胞長を制御していると考えられる。また、mreB抑圧変異はMreBタンパク質の一つの領域に集中していた。今までMreBタンパク質のこの領域の機能は明らかではなかったが、本研究により、この領域がMreBフィラメントの形成に重要であることが示唆された。これらの結果は、現在、投稿準備中である。
|