研究概要 |
新奇の相同組換え抑制因子である、高度好熱菌MutS2エンドヌクレアーゼについて、その触媒ドメイン(C末端ドメイン)のX線結晶構造解析に成功した。その結果、MutS2のC末端ドメインは、RNaseEやDNaseIなど、配列非特異的なエンドヌクレアーゼと類似の構造を持つことが明らかとなった。一方、N末端ドメインは、相同組換えの初期中間体であるD-loop構造に強く結合し、そして、MutS2全長としては、相同組換え中間体を認識し、切断する活性を持つことを示した。これらの結果から、MutS2が、相同組換えの初期中間体をエンドヌクレアーゼ活性により解離させることで反応を抑制することが示唆された(Fukui et al.,(2008)J.Biol.Chem.283:33417-33427)。この成果は科学新聞に平成20年12月12日付で掲載された。 さらに、MutS2による相同組換え抑制機構にミスマッチ修復系関連因子がどのように関与するかを調べるため、プルダウンアッセイによる相互作用解析を行った。その際、プルダウンされた相互作用因子の同定に、LC-MSを用い、極めて感度の高い検出方法の確立に成功した。この手法を用いた解析により、ミスマッチ修復系酵素である高度好熱菌MutLがMutS2と相互作用することが明らかとなり、今後の展開に期待を抱かせる結果が得られた。
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