研究概要 |
本研究では、芳香族カルボン酸のバイオ合成に焦点をあて、(1)芳香族カルボン酸合成基本微生物の育種と、(2)2,5-ジヒドロキシテレフタル酸(DHTPA)分解菌スクリーニングの二つの課題について検討を実施している。 (1) 宿主菌として、公的機関から入手可能なPseudomonas putidaの中で芳香族カルボン酸耐性の高く、ゲノム情報が活用できるP.putida mt-2(JCM6156)株を選択した。芳香族カルボン酸合成を可能にするためにチロシンアナログ耐性株を作成し、芳香族カルボン酸合成関連遺伝子の導入、遺伝子破壊を進めている。P.putida mt-2株は、KT2440株のisogenic strainであり(DNA repair, 2008, vol.7, p20-30)、データベースに登録されているKT2440株のゲノム情報が利用できる。 (2) 北日本を中心として土壌、湖沼水を採取し、DHTPA分解菌探索を進めた結果、複数の土壌からDHTPAを単一炭素源として生育可能, な細菌を単離した。その一部について16SrDNA配列解析を行ったところ、Microbacterium属やShinella属に属していた。これらはテレフタル酸も単一炭素源として生育可能であり、これまでに報告されていない分解菌である。現在、引き続き分解菌の種の同定を行うと共に、得られてきたDHTPA分解微生物集団から、DHTPA脱炭酸反応を初発反応とするDHTPA分解菌の選抜を進めていく。 本研究は平成20年10月〜平成21年3月に実施した内容である。
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