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2008 年度 実績報告書

DNAマーカーを用いた胃内容分析による環境保全型水田における土着天敵の役割の評価

研究課題

研究課題/領域番号 20880011
研究機関東京大学

研究代表者

高田 まゆら  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特任助教 (10466807)

キーワードクモ類 / 斑点米カメムシ / 捕食被食関係 / 有機農業 / 害虫
研究概要

申請者が宮城県大崎市の環境保全型水田で行っている調査から、大型のクモ類密度が高い環境保全型水田では、イネ害虫であるアカスジカスミカメ(以下アカスジ)の密度や被害程度が低いことが示された。このことから、クモ類は土着天敵としての機能を果たしていることが期待されるが、この結果は必ずしもそれらの捕食被食関係を証明するものではない。そこで本研究では、最近注目され始めている害虫のDNAマーカーを用いた土着天敵の胃内容分析を行うことで、水田内に生息する斑点米カメムシ類がクモ類に食べちれているかを確かめ、その捕食率を定量化することで、クモの土着天敵としての重要性を評価する。20年度は、野外においてアカスジを頻繁に捕食するクモグループの特定と、クモ類によるアカスジ捕食数解明のために必要なクモ類のアカスジ消化速度の推定を行った。
2008年8月、アカスジが多数生息している環境保全型水田3枚を対象に、アカスジよりも大型なクモを多数採集し、クモ個体ごとにアカスジのDNAマーカーを用いた胃内容分析を行った。その結果、胃内容からアカスジDNAが検出されたクモ個体は、アシナガグモ科で平均5%、コモリグモ科で平均15%であった。このことは、これらのクモ類がアカスジを高頻度に捕食しているこどを示唆するものである。次にこれら2グループのクモのアカスジの消化速度を測定するため、室内実験を行った。その結果、アシナガグモ科は1日に平均0.5匹のアカスジを消化するのに対し、コモリグモ科は1日に平均0.14匹消化することがわかった。21年度は、さらに多くの環境保全型水田において各クモグループによるアカスジ捕食率を調べ、消化速度と考え併せて土着天敵としての重要性を明示的に評価する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 環境保全型水田における土着天敵を利用した害虫被害防除のための空間生態学的研究2009

    • 著者名/発表者名
      高田まゆら, 高木俊, 吉岡明良, 岩渕成紀, 小林徹也, 鷲谷いづみ
    • 学会等名
      第56回日本生態学会企画集会「アグロエコロジー研究会11"冬期湛水"は水田生物多様性の再生に貢献しうるか」
    • 発表場所
      盛岡
    • 年月日
      20090300
  • [学会発表] 宮城におけるマガン越冬地・蕪栗沼周辺水田における稲作技術の開発研究2009

    • 著者名/発表者名
      高田まゆら, 高木俊, 吉岡明良, 岩渕成紀, 小林徹也, 鷲谷いづみ
    • 学会等名
      第56回日本生態学会自由集会「大型水鳥を支える里地生態系の構造、機能、再生技術」
    • 発表場所
      盛岡
    • 年月日
      20090300
  • [学会発表] アカスジカスミカメによる斑点米被害の程度に影響を与える水田内要因と水田周辺のランドスケープ要素の解明2009

    • 著者名/発表者名
      高田まゆら, 高木俊, 吉岡明良, 岩渕成紀, 小林徹也, 鷲谷いづみ
    • 学会等名
      第53回日本応用動物昆虫学会大会小集会「ランドスケープ(景観)構造を考慮した害虫管理と益虫利用」
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      20090300

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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