研究概要 |
混住化地域における富栄養貯水池の水環境問題の解決に向けて,高知市絶海池を対象に以下の研究・調査を実施した. まず,絶海池の水環境の現状ならびに汚濁メカニズムの解明に向けて,前年度から継続している環境モニタリングによりデータの蓄積に努めた.その結果,同池は極めて深刻な過栄養状態にあり,その改善に向けた取り組みが急務であることが確認された.また,池南岸の水処理が不十分な地域からの排水が池の汚濁に寄与していることが示唆された.さらに,池底には多くのヘドロが堆積し,貯水能力の低下のみならず,内部負荷の影響も大きいことが予想された. つぎに,多く堆積された底泥が,水質に及ぼす影響について実験的に検証した.すなわち,現地から採取した底泥を用いて栄養塩の溶出試験を行い,内部負荷量を推定した.その結果,高水温・貧酸素の条件の下で,底泥から極めて多量のリン溶出が見られた.実際の絶海池においても,夏季に高水温・貧酸素の状態となることが予想されるため,今後同池の水環境改善のためには,底泥への対策が必要不可欠であると考えられた. さらに,地域住民による具体的な環境保全活動を後押しすることを目的に,低コスト・低エネルギーの水質浄化手法を提案した.ここでは,地域の産業廃棄物および未利用バイオマス資源の活用を考慮して,廃瓦を用いた機能性覆砂材ならびに浮島型植生水質浄化法に着目した.浮島型植生水質浄化法においては,浮島基盤としてマダケ,植栽植物としてオランダハッカ(ともに池周辺部に自生)を使用した.このような浄化材・浄化手法の浄化性能ならびに物理的耐久性について検証した結果,実用において十分な性能を擁していることが確認された.
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