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2008 年度 実績報告書

非水系酵素反応による糖鎖/カーボンナノチューブ複合体の創成

研究課題

研究課題/領域番号 20880021
研究機関九州大学

研究代表者

小川 由紀子  九州大学, 大学院・農学研究院, 准助教 (80507848)

キーワード糖鎖 / 酵素反応 / カーボンナノチューブ / 高強度材料 / 超分子構造
研究概要

カーボンナノチューブ(CNT)は優れた機械・電気・熱特性を有し、ナノテクノロジー分野で注目される素材である。その特性を応用し、CNTをフィラーとする高分子複合体は精力的に研究されているが、CNTの比表面積が非常に大きく凝集しやすいことから単一分散が困難であることが開発の壁となっている。また、同様の強い分子間力による高強度素材として構造性多糖であるセルロースも期待されている。例えばセルロースナノファイバーは同じ重量の鋼鉄に比べて約5倍の強度をもつという報告があるが、セルロースは一般に溶媒に難溶である上、単純なブレンド化ではその強度を発揮できない。
本研究では「非水系糖鎖合成技術」を応用し、分散したCNT上で糖鎖の合成を行い、分子レベルで糖鎖とCNTを複合化することで、CNT/糖鎖(セルロース)双方のポテンシャルを活かした高強度素材の創成を目指している。本年度は、(1)酵素を被覆するポリマーの探索、(2)酵素由来別のセルラーゼの最適化、(3)CNT分散能をもつ糖誘導体の合成を行った。
(1)数種類の両親媒性ポリマー(分子量2000〜20000)を用いて、被覆酵素を調製し、非水系糖鎖合成を行った。その結果、ポリビニルピロリドンで被覆した場合、界面活性剤被覆酵素と同等の収率が得られた。ポリマーを使用することで、被覆酵素調製時に有機溶媒を使わず、水溶液のみで行える利点がある。
(2)Trichoderma属、Aspergillus属由来の数種類の酵素をポリビニルピロリドンで被覆し、非水系糖鎖合成を行った。その結果、非水系条件下ではTrichoderma reesei由来の酵素の収率が最も良かった(5.4%)。
(3)CNTを分散させかつ糖鎖合成の起点となるような両親媒性の糖誘導体を新たに合成した。末端の糖の結合様式や種類を変えてCNTの分散について検討した結果、いずれも良好な分散が確認された。興味深いことに、今回合成した糖誘導体は、末端の糖の種類によっては低分子ヒドロゲル化能をもつことを見いだし、カーボンナノチューブ分散ゲルが容易に調製できることがわかった。今後、この素材とCNTを組み合わせることで、バイオ応用への展開も期待される。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2009 2008 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Surface modification of a solid-state cellulose matrix with lactose by a surfactant-enveloped enzyme in a nonaqueous medium2009

    • 著者名/発表者名
      Egusa, S., et al.
    • 雑誌名

      Journal of Materials Chemistry 19

      ページ: 1836-1842

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Preparation of lactose-modified cellulose films by a nonaqueous enzymatic reaction and their biofunctional characteristics as a scaffold for cell culture2009

    • 著者名/発表者名
      Esaki, K., et al.
    • 雑誌名

      Biomacromolecules 10(In press)

    • 査読あり
  • [学会発表] セルラーゼ/ポリマー複合体による非水系セルロース合成2008

    • 著者名/発表者名
      小川由紀子・江草静香・北岡卓也
    • 学会等名
      セルロース学会第15回年次大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20080710-20080711
  • [学会発表] 非水系酵素触媒反応によるラクトオリゴ糖および配糖体の合成2008

    • 著者名/発表者名
      奥谷友理, ら
    • 学会等名
      セルロース学会第15回年次大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2008-07-11
  • [学会発表] 非水系酵素触媒反応を利用した糖鎖合成と構造・機能解析2008

    • 著者名/発表者名
      江草静香, ら
    • 学会等名
      セルロース学会第15回年次大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2008-07-11
  • [学会発表] 非水系酵素反応を利用したラクトースからの非天然オリゴ糖合成と材料機能設計2008

    • 著者名/発表者名
      奥谷友理・江草静香・小川由紀子・北岡卓也・割石博之・後藤雅宏
    • 学会等名
      第45回化学関連支部合同九州大会
    • 発表場所
      北九州
    • 年月日
      2008-07-05
  • [備考]

    • URL

      http://bm.wood.agr.kyushu-u.ac.jp/

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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