ヒノキ林の観測塔において1998年より測定されているCO_2交換量などの微気象データの整備を行なった。簡易渦集積法の測定システムは経年劣化が見られたため、次年度へ向けて新たなシステムを考案し、実用新案を取得した。また、モデル結果の長期的な傾向を検証するための指標として年輪に注目し、年輪サンプルを観測実施中のヒノキ林から取得した。 NASAの人工衛星MODISから得られる植生指数(緑度)、地表面温度などのデータをNASAのホームページよりダウンロードして日本をカバーする領域に関してこれらの衛星データを整備した。観測データを用いて、データを広域化するためのリモートセンシング・モデルのプロトタイプを作成した。解析結果から、ヒノキ林におけるCO_2交換量は気温に加えて日射が重要な要因であることが明らかとなった。そのため、プロトタイプモデルでは、植生指数、地表面温度、日射量を入力変数として駆動するモデルを考案した。 陸域生態系モデル(BIOME-BGCモデル)のパラメータリゼーションを行い、モデルが観測された過去10年間のCO_2収支の経時変化、年輪サンプルから推定された過去数十年問の樹木の生長量を再現出来る事を確認した。観測されたヒノキ林のCO_2吸収量は他の観測サイトと比べて大なものであったが、モデルを用いた解析から、この原因は観測を行ったヒノキ林が若い森林であるためであることが明らかとなった。すなわち、ヒノキ林のCO_2吸収量には樹齢が重要な要因であることが示唆された。
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