1.ヤツメウナギミオシン重鎖遺伝子の網羅的解析 ウミヤツメのゲノム情報を使用し、網羅的なミオシン重鎖遺伝子のin silicoクローニングを行った。その結果、ウミヤツメには少なくとも速筋型3種類、遅筋/心筋型3種類のミオシン重鎖遺伝子が存在していることがわかった。このうち、速筋型3種類および遅筋/心筋型2種類については、カワヤツメのゲノムにおける存在をPCR法により確認した。 2.ヤツメウナギミオシン重鎖遺伝子クラスターの解析 ウミヤツメゲノムデータベースを独自に解析した結果、3種の速筋型ミオシン重鎖遺伝子は、MYH2-MYHx-MYH1の順にタンデムクラスターを形成していた。また、ゲノムDNAを鋳型として用いたロングPCR法によって、カワヤツメにおける同ミオシン重鎖遺伝子クラスターの存在を確認した。 3.脊椎動物に共通する筋発生機構の解析 カワヤツメミオシン重鎖遺伝子の上流領域5〜6kbを、蛍光タンパク質遺伝子GFPあるいはRFPを含むレポーターベクターにクローニングした。速筋型3種類および遅筋/心筋型1種類、合計4種類のレポーターベクターを作製した。このうち、速筋型3種類のレポーターベクターをゼブラフィッシュ受精卵に顕微注入し、胚での発現を観察した結果、MYH1およびMYH2においては速筋での発現が確認できた。これより、無顎類のミオシン重鎖遺伝子プロモータは真骨魚で正しく認識されることが明らかとなった。
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