ロドコッカス属細菌における難分解性環境汚染物質分解制御系の網羅的解析を行うために、始めにRhodococcus jostii RHA1株のビフェニル/PCB分解系の主要な2成分制御系遺伝子bphT1と高い相同性を有するbphT2遺伝子破壊を行った。pK18mobsacBを用いた二次組換え体のサザンハイブリグイゼーション解析から、目的の遺伝子が破壊されていることを確認した。またbphT1/bphT2二重破壊株も同様な方法で作製し、以後の解析のコントロール株として用いることとした。 次にRHA1株の全ゲノム配列を網羅的にカバーするマイクロアレイを用いたChIP-chip解析のため、本菌株を用いた免疫沈降法の確立を行った。BphT1抗体(ポリクローナル抗体)を作製し、RHA1株からの全タンパク質を用いたウェスタン解析を行った結果、BphT1以外の非特異的な結合は認められず、今回作製したBphT1抗体がBphT1-DNA複合体の免疫沈降に有効であることを確認した。また、本法によって得られたサンプルDNAを定量的に測定することを目的として、既知BphT1結合領域の定量的PCRを試みた。その結果、既知BphT1結合領域として報告されている5種類のプロモーター領域を区別するプライマーセットを用いることで、これらのDNA断片を特異的に定量できることを確認した。 今後、RHA1野生株と今回作製したbphT2破壊株、bphT1/bphT2破壊株をそれぞれビフェニルにさらし、各株からBphT1-DNA複合体を免疫沈降で経時的に単離する。さらに定量PCRによって既知領域が得られていることを確認するとともに、RHA1株のマイクロアレイにハイブリダイゼーションを行うことで、BphT1が結合する新規DNA領域の全ゲノム配列中の網羅的な同定を試みる。
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