1.研究の目的 本研究の目的は、農産物直売所における需給ミスマッチを改善するため、定量的に需給の動向を把握し、需要予測を行うことである。本年度は、研究実施計画に基づき、大阪府泉南地域の中規模直売所Aのナス科野菜Bとトマトを対象として、残品(売れ残り)・欠品(売り切れ)の発生状況を定量的に把握し、欠品が生じた場合に需要量を推測する手法を開発した。 2.本年度の研究内容 (1)品目別のPOSデータと納品伝票を照合し、残品・欠品の発生状況を把握した。結果、対象品目の2005年から2007年における荷受数に占める残品数の割合は22〜37%であった。一方で、荷受があった日うちの10〜40%で欠品が発生していた。対象品目はあまり日持ちがしないため、多くの廃棄ロスが発生していることが示唆された。一方で、多くのチャンスロスも発生していることが明らかとなった。 (2)時間帯別販売量を分析した結果、対象品目の欠品が発生しなかった日について、開店後一時間の販売数と一日の販売数の間に強い相関関係があることが明らかになった。この相関関係に着目して、欠品が発生した場合の需要量を推測する手法を開発した。この手法を用いて需要量を推測した結果、対象品目の2005年から2007年の出荷期間における需要量は、実際の販売数の103〜137%であったと推測された。 3.成果の公表 以上の本年度の研究成果は、関連学会で口頭報告を行った(第58回地域農林経済学会大会個別報告、2008年10月、神戸大学農学部)。
|